弁護士業務、法律に関することなど、あれこれ綴っています。

遺言の意義

最近「遺言」をすることの重要性が広まってきたように思います。

遺言をされる動機としては、①ご自身が亡くなった後に親族間でトラブルが生じるのを防ぎたい、②特定の相続人には遺産を渡したくない、というものが多いように思います。これらの動機で遺言される方は、ほとんど相続人がおられることを前提としておられます。

では、相続人がおられない方の場合、遺言をする意義はないのでしょうか。

結論は「No」です。相続人がおられない方でも遺言をする意義は十分にあります。

そもそも、相続人がおられない方の場合、その遺産は最終的に国庫、つまり国のものになります(民法959条)。ところが、相続人がおられない方であっても「世話になった方に遺産をあげたい。」、「慈善団体に寄付したい。」、「国のものになるとしても、社会福祉に役立ててほしい。」等色々な想いがあるのではないでしょうか。それらの想いを実現するためには、遺言をしておく必要があるのです(被相続人の世話をした人の場合、特別縁故者として、遺産をもらえることもありますが、家庭裁判所での手続が必要です〔民法958条の3〕)。

もっとも、遺言書を作成するだけでは、万が一の時、誰が遺言書の内容を実現してくれるのか分かりません。そこで、遺言書の中で「遺言執行者」という遺言の内容を実現させるための担当者を定めておくのが、スムーズな遺言の実現にとって不可欠でしょう。

当事務所では、遺言書の作成のから、遺言執行者として遺言を実現するまでの相談を広くお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。

弁護士の専門性

最近、依頼者や相談者の方に「先生のご専門は何ですか?」と聞かれることが多くなったように思います。

しかし、この質問、意外にも、非常に困るのです。

専門という言葉が、取り扱いがある特殊な分野という意味であれば、当事務所であれば「知的財産」とか「医療事件」であったりするのです。これに対し、専門という言葉が、特定の分野について他の弁護士を圧倒する程度の弁護士としての腕をいうのであれば、私はまだ修業の身としかいいようがありません。

質問される方がどちらの意味で聞いておられるかは、お話の流れてつかむ他ないのですが、それにしても、どう答えてよいのか悩みます。仮に、後者の意味で専門分野はと問われて、仮に答えがあったとしても、例えば「医療過誤」ですと回答するのは、実際には謙遜してしまって言えませんよね。

ちなみに、弁護士に適用される「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」という長い名前の指針では、「専門家」、「専門分野」の記載につき、控えるのが望ましいとされています。

以上

交通事故(物損)の損害②

前回のブログでは、いきなりマニアックな話になってしまいましたので、今回はよく出てくる、修理費と時価の関係について書かせていただきます。

例えば、交通事故で壊れた車が、新車価格200万円、現在の中古車市場での売値120万円、買値80万円、修理費が100万円とした場合、車両自体の損害として、どの金額が認められるのでしょうか。

答えは、修理費である100万円です。

基本的に物損事故の場合、車両自体の損害は、修理費と時価のいずれか安い方とされています。これは、物が壊れたらその値打ち、すなわち時価を所有者に賠償するのが原則です。しかし、車の場合、修理して乗るというのが社会的に常識とされていることから、時価よりも修理費が安い場合には修理代を賠償することとされているのです。また、修理費が、新たに同形式、同年式の車が買える値段を超えて修理する人は、通常いませんから、修理費が中古車市場の売値を超える場合には、売値が損害額となるのです。

弁護士をしていると「車を元に戻してくれたらええんや!」という人がいますが、法的に請求できる上限は、上記のとおり、修理費と時価のいずれか安い方となるのです。

 

交通事故(物損)の損害①

物損の交通事故では、どのような費目について損害賠償請求できるのでしょうか。

一番重要なのは、車の損傷の修理費でしょう。通常の流れですと、被害者が車を修理工場に持ち込んで、加害者の損害保険会社の方が車の修理個所等をチェックして、それによって成立した合意内容で修理がおこなわれます。そして、修理費は、示談した過失割合に基づいて加害者の損害保険会社が支払います。

このように書けば、ほとんどの方が何の問題もないように思われることでしょう。ところが、弁護士として相談を受けてみると、意外に多くの問題があることが分かります。

修理費を巡って一番多い生じる問題は、「壊れた部品を交換しても完全に元に戻らない!」というものです。被害者の立場からは、①一カ所だけ部品を替えると色が合わないではないか、加害者の立場からは、②もっと安い修理工場があるのに何故ディラーに修理させるのか等々。

①については、新しい部品を付けた所と元通りの所の境が分からないように修理工場で色合わせを行います。もちろん、よく見ると分かるのですが、そもそも絶対に修理したと分からないレベルまで色を合わせようとすると、車の色を全部塗り替えなければなりません(全塗装といいます。)。しかし、車として通常使用するために、そこまですることが社会常識に適うのでしょうか。物理的な損傷は修理しないと安全に関わりますが、色は一見して色が違うと分からないレベルであれば、運転していて恥ずかしいということはありません。逆に、わずかな傷のために全塗装をするのであれば、賠償するべき損害賠償額がいたずらに大きくなってしまい、保険料が上がることは必至です。とすれば、原則として、全塗装はしない方が社会常識に適うというべきでしょう。現に裁判をしても、全塗装が認められることは、原則としてありません。

②については、被害者が修理に出す時に自分が信頼する修理工場に車を持ち込むのは当然で、加害者から○○なら修理費が安いのだから、それ以上は支払わない等ということはできません。仮に、被害者が不当な高額請求をする修理工場に車を持ち込んだ場合、加害者の保険会社が適正な価格になるよう交渉します。

問題が生じることの多い物損事故の損害について、まとめようと思いましたが、第1回目からいきなり細かい問題に入ってしまいました。次回は、経済的全損(時価全損)や評価損の問題などの大きな問題を取り上げたいと思います。

破産と免責

弁護士をしていると、個人の方から「破産して借金をチャラにしたいんです。」という相談を受けることがあります。

正しいこの質問に対する法的な回答は「×」なのです。破産法では、「破産」することと(破産法18条)、いわゆる借金チャラ「免責」とは別の手続とされており(破産法248条)、破産しても免責できない場合についての規定もあります(免責不許可事由・破産法252条)。つまり、破産申立てをしたけれども、借金はチャラにならないという場合があり得るのです。

もっとも、現在の運用において、破産したけど免責にならないというケースは稀です。破産は、債務を負った人の経済的な再出発を図る制度ですから、破産した個人に免責を認めないと破産制度を設けた意味がなくなるからです。

では、免責の決定がなされるとどんな債務でもチャラになるのでしょうか。この答えも「×」です(破産法253条)。例えば、車を運転していて赤信号を無視したら、青信号で横断中の人をはねてしまった場合、そのはねられた人の損害賠償請求権が免責になって一切支払わなくてよいという結論が不当であることは誰の目にも明らかでしょう。罰金や税金を支払えないからといって、免責されてしまうのであれば、社会の公平は保たれません。

結局、「破産すれば、借金はチャラ」という結論は、概ね正解ですが、不正義な場合、必ずしもそうではないのです。弁護士をしていると、破産する方の代理人、破産管財人、破産する方の取引先の代理人等、様々な場面で破産をみることになります。弁護士としては、どの立場に立つかで視点は変わりますが、基本的な公平を保ちつつ仕事をしていきたいものです。

民法上の時効

強盗罪は7年、殺人罪は時効なし等、犯罪行為について公訴時効があることは、よく知られています。

ところが、法律相談などで「その請求は時効ですよ。」というと多くの方が「民事に時効があるのですか!?」と驚かれることがたびたびあり、民事に時効があることは、案外知られていない様に思います。

民事の時効(ここでは民法上の時効に限ります。)には、取得時効と消滅時効があります。

取得時効とは、一定の要件の下、10年又は20年間、他人の物を占有した人には、その物の所有権が発生するという制度です(民法162条)。隣地との所有権の境界を間違えて、隣地の人の土地の一部も自分の土地と思って塀を立てて自宅土地として使っていたような場合が典型的です。これに対し、賃貸マンションを借りていて10年又は20年の間、占有したとしても、もちろん自分の物にはなりません。借りている物は、あくまで借りている物です。

消滅時効とは、債権について認められるもので、一般的には10年で時効になり、債務者が時効を主張すれば、その債権は時効によって消滅して、それ以後、請求できなくなります(民法166条、145条)。つまり、お金を貸した人は10年経つと「返せ!」とは言えなくなる(可能性がある)のです。逆に、すっかりと忘れていた10年以上前の債務が出てきても「もう時効だから返さない。」と言えば、通ることになります。

もちろん、例外はたくさんあります。そもそも交通事故などの不法行為の損害賠償請求権は、加害者及び損害を知った時から3年(民法724条)、売掛債権は2年(民法173条1号)等、期間自体に例外が多いのです。また、債務を負っていることを認めたり、裁判されて請求されるなどすれば、再度10年経たなければ時効にならない中断といわれる制度もあります(民法147条)。

その他いろいろ、時効には例外が多く、細かい規定も多いので、本当に時効が成立しているかどうかは、弁護士にご相談いただいた方がよいでしょう。

新年明けましておめでとうございます

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