弁護士業務、法律に関することなど、あれこれ綴っています。

3月2014

弁護士の専門性

最近、依頼者や相談者の方に「先生のご専門は何ですか?」と聞かれることが多くなったように思います。

しかし、この質問、意外にも、非常に困るのです。

専門という言葉が、取り扱いがある特殊な分野という意味であれば、当事務所であれば「知的財産」とか「医療事件」であったりするのです。これに対し、専門という言葉が、特定の分野について他の弁護士を圧倒する程度の弁護士としての腕をいうのであれば、私はまだ修業の身としかいいようがありません。

質問される方がどちらの意味で聞いておられるかは、お話の流れてつかむ他ないのですが、それにしても、どう答えてよいのか悩みます。仮に、後者の意味で専門分野はと問われて、仮に答えがあったとしても、例えば「医療過誤」ですと回答するのは、実際には謙遜してしまって言えませんよね。

ちなみに、弁護士に適用される「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」という長い名前の指針では、「専門家」、「専門分野」の記載につき、控えるのが望ましいとされています。

以上

交通事故(物損)の損害②

前回のブログでは、いきなりマニアックな話になってしまいましたので、今回はよく出てくる、修理費と時価の関係について書かせていただきます。

例えば、交通事故で壊れた車が、新車価格200万円、現在の中古車市場での売値120万円、買値80万円、修理費が100万円とした場合、車両自体の損害として、どの金額が認められるのでしょうか。

答えは、修理費である100万円です。

基本的に物損事故の場合、車両自体の損害は、修理費と時価のいずれか安い方とされています。これは、物が壊れたらその値打ち、すなわち時価を所有者に賠償するのが原則です。しかし、車の場合、修理して乗るというのが社会的に常識とされていることから、時価よりも修理費が安い場合には修理代を賠償することとされているのです。また、修理費が、新たに同形式、同年式の車が買える値段を超えて修理する人は、通常いませんから、修理費が中古車市場の売値を超える場合には、売値が損害額となるのです。

弁護士をしていると「車を元に戻してくれたらええんや!」という人がいますが、法的に請求できる上限は、上記のとおり、修理費と時価のいずれか安い方となるのです。